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この程度の「報告」をしてしまうところに問題があるのだが2009年06月11日 11時41分39秒

小沢氏の説明不十分=東京地検捜査「多くの疑念」-第三者委報告
6月10日19時14分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090610-00000149-jij-pol

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民主党第三者委員会の報告書を読んでいる。

まあ民主党批判をするのはいつもの事なのだが、はっきり言って表題の通り。この程度の「報告」を嬉々として出している委員会、およびこの報告書を元に浮かれている民主党派の人たちの思考の狭さには激しく危惧を抱いている。

はっきり言って「穴だらけ」としかいえない。
この報告書をまともに読めば、民主党の考え方の浅さが目に付くのだが、さて、どうだろう。

マスコミ報道その他はともかくとして、「法」についての部分についてを主として、どこに穴があるのか一つ一つ検証していこう。

……とはいえ、この文章自体、まだブログ用に起こした第1稿で、しっかりと整理されていないので、一部、問題があるかもしれないという事も書き添えておく。
 いずれ週末にでも正式に整理しようとは思っている。

 後、第2章からはまた夜にでも書く予定。

 ちなみに、私は何度も言うとおり、自民党信奉者というわけではない。
 民主党の知り合いもいることだし、それなりに評価はしている。
 だが、やはりこの程度の報告書を上げてしまう事と、これで「良かった」という人が多い事には非常に危惧を感じざるを得ないのだ。

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▼ 「民主党第三者委員会の性質」
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P.1
"そして、上記政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に関し、各分野の専門家が自由闊達に議論し、個々の問題点について「客観的かつ公正な見解を示す」党から独立した第三者機関を設けることとし、4月3日に鳩山幹事長(当時)から、「有識者会議」の設置が発表された。"

この「政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」は、自ら記述しているとおり、民主党が招集した「有識者会議」である事を忘れてはならない。
 そのため、 どれだけ自由闊達に議論したとしても、招集時点で「民主党による選別」が行われている以上、この委員会は完全に公正な機関であるという事はできず、「多少、民主党よりである」委員会という見方をする事が必要だ。

 したがってこの報告書も、完全中立な意見として見るのではなく、あくまで「民主党としての見解・主張」の一つと見るのが本来は正しい見方だ。

 これを忘れ、「民主党の第三者委員会から報告が出た」だから「民主党が正しい」と一方的に記述している一部のブログや論者は、その時点で「正当な判断を失っている」と考えなくてはいけないだろう。

 何事も、自分に都合のいい「一方からの意見」だけで論じるのは危険なのだから。



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▼ 第1 章 検察の捜査・処分をめぐる問題
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P.3より抜粋(一部、接続詞カット)
"本章は、本件に関する真相究明を目的とするものではなく、第2 章以下の検討の前提として、本件についての検察の捜査、処分をめぐる問題点を指摘することを目的とする。なお、本件に関する事実関係について、検察当局からは、公式の資料は公表されていないため、本章の記述は、すべて新聞などの報道によるものである。"

"問題となるのは、
第一に、本件について政治資金規正法違反が成立するのか否か、
第二に、仮に違反であるとしても、同法違反の罰則を適用すべき処罰価値ないし事案の重大性・悪質性が認められるのか、
第三に、被疑者を任意出頭当日に逮捕するという捜査手法を用いたことが妥当なのか否か、という点である。
それ以外にも、同じ政治団体名義で同様の寄附が自民党議員に対しても行われていたのに、小沢氏に関連する政治資金規正法違反の事実のみを立件し、逮捕・起訴を行ったことが偏頗な捜査ではないのかという点"

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 この話。ここまでは正しいと思う。

 まず前提となる行為についてだが、上述の通り、真相については裁判の場で争うものでありここで議論するものではない。
 だが、有罪判決が出るまでは「推定無罪」(無罪として取り扱う)のが法における基本である以上、あくまで"被疑者"として本サイトでは取り扱うことにする。

 さて、第三者委員会の主張についてだが、これは一つの「正当な反論」ではある。それは疑いない。

 ただしこれは、あくまで弁護側(被疑者の無罪を主張する側)の意見でしかない。
 したがって、第三者委員会の意見だから「正しい意見」である、と考えるのは性急だ。
 この一点について、多くの一般市民は理解して欲しい。

 この件については、あくまで、検察側(被疑者有罪側)主張と弁護側(被疑者無罪側)主張の両方を、"裁判"の場で正しく比較判断する事が必要だろう。



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▼ 2.問題点についての検討
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2-1.違反の成否 
2-2.事案の重大性・悪質性

 法解釈上の問題の問題については、「様々な法解釈」が可能である以上、このような法解釈主張自体を否定する事はできない。
 だが、その適否については「裁判所」が裁判において最終的に判断することであり、さらに、この法解釈主張自体『「無罪」を主張する側の主張』に過ぎない。
 したがって「第三者委員会が出した法解釈だから」正しいと短絡的に考えるのは、非常に危険な間違った考え方であるということをまずは繰り返し述べる。

しかしながら、第三者委員会は問題のある行動に出ている。

P.7 "本件は、刑事事件として起訴された事案なのであるから、実態に基づく判断は、最終的には、公判手続の中で証拠による事実認定に基づいて行うほかない。しかし、実態に基づいて検討を行うための一つの手がかりとなる資料がある。それは、西松建設が2009 年5 月15 日に公表した内部調査委員会による調査報告書である"

……もはや、あいた口がふさがらないとしか言えない。

 自ら、"実態に基づく判断は、最終的には、公判手続の中で証拠による事実認定に基づいて行うほかない。"と記述しているにもかかわらず、"西松建設が2009 年5 月15 日に公表した内部調査委員会による調査報告書"を元に"実態に基づいて検討を行う"としている。

 すでに、基礎となる資料が、「西松建設側」が提供した資料のみで思考に入っている時点で「実態判断」が大きく間違っている恐れがあり、本報告書の実態判断は「正当性・信憑性が一切無い」と、自ら記述しているようなものだ。なのに、以下、延々と実態判断について得意そうに論じている。
 委員会は、すでに何か勘違いしているのではないだろうか。

 少なくとも「実態判断」については「裁判において行われるべきであり、予断を招きかねない判断は、一切、差し控える」とするのが、公平な機関としての態度だったろう。
 これが、できていない時点で、悪く言えば「ちょうちん記事」と言えるような報告書だと言われても文句は言えないだろう。

さて、「実態判断」は、裁判所での証拠資料を元に判断するべきだと思うので、私自身はここでは論じない(西松側の一方的資料だけを信じて論じるのは危険なので)。ここで問題にしたいのは、以下のいくつかの点だ。

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P5. 8行目より
"イ 関係当局の見解と問題点
この点について関係当局の見解を把握するため、政治資金規正法を所管する総務省及び罰則について審査を行う立場にある法務省の担当者にヒアリングへの出席と回答を求めたが、法務省当局からは、出席も回答も得られなかった。"

 このような事をしたり顔で書いているが、法務省サイドが回答を出さないのは、本来「当たり前」でしかない。なぜなら「裁判所で争う」事案だからだ。

 この第三者委員会は『政党である民主党』開催している委員会だ。
 このような「被告側のミーティング(第三者委員会)に原告側(検察・法務省サイド)が出席して、その見解(考え方)の説明を行う」。
 こんな事が、司法手続上できるはずがない。
 これら説明行為(立証行為)は「裁判所」という中立機関において、裁判中に行われる事だ。
 もし第三者委員会がいうように、任意の委員会で説明し話しあう事が可能だとしたら、裁判所など必要無い。裁判も必要ない。すべて民事和解で片がつく。

 このように、裁判になる前に「被告サイドが準備した場で原告・被告が双方意見交換をしあうべきだ」などという事をさも当たり前のように主張し、かつそれが認められなかった事を非難している時点で、この委員会の法的正当性については疑念を持たざるを得ない。

 また、総務省はこの委員会に出席し運用上の意見を述べている。 
 総務省は行政サイドの法運用解釈を担っている部門だけあって、行政手続上どのように運用解釈をしているか説明する義務がある。「法務省」と「総務省」の対応の違いは、端的に言えば「司法」と「行政」の制度上の違いであり、 これについて「総務省は出ているじゃないか」と考えるのは、明らかに問題があるだろう。

また、総務省側の回答としては
"「法律上『寄附をした者』を記載することとされているので、総務省としては、会計責任者が法の趣旨に則り、実態を把握して『寄附をした者』を記載してくださいとしか言えない」との回答に繰り返すのみであった。"

 と書いているが、これも当たり前であり、非難する方が間違っている。

『手続上何が求められているのか』、総務省に許された判断はそれだけしかない。
 逆に言えば、総務省が勝手に法解釈判断を行えるとすれば、それ司法判断や法整備を行う他の機関・省庁の権限を勝手に越えて活動できる事になる。

 実際、一般社会においても同じ事がいえる。
 企業活動上、営業の契約等について、同じ企業内だからと勝手に総務などが契約を結んだり法的判断をしていいということなどありえない。
 それぞれ「決められた権限内」においてのみ意見を述べ、責任を負うことができる。逆に言えば、権限外の行為について"責任ある発言"などできないし、してはならないというのが社会的・法的常識だろう。

 だから、総務省は、「手続上の問題点しか」述べる事は許されない。そして、手続上の話である以上、その手続がコロコロ変わる事の方が問題である。
 にも関わらず、同じ回答を繰り返す事を多少問題のあるような書き方をし、総務省が権限外発言をしない事を非難するような書き方をしている。
 これは、非常に問題のある考え方ではないだろうか。

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次に、
P.8 2-3.捜査手法 より
"被疑者の身柄を拘束するためには、「逃亡の恐れ」、「罪証隠滅の恐れ」のいずれかが必
要であるが、大久保秘書の場合に「逃亡の恐れ」がないと考えるのが合理的であり"(以下略)

  証拠隠滅の恐れが無いことについてはある程度の記述がなされているのに、なぜ逃亡の危険性については無いと合理的に考えられるのか、本報告書では一切の説明が無い。

 この状況で、不当逮捕であると主張しても説得力に欠ける。
 少なくとも、なぜ逃亡の危険性が無いのか記述するべきだろう。
『私達が無いと思っているのだから、無いのだ』そんな理屈では通用しないだろう。

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さらに、2-4.自民党議員等に対する寄附の取扱いとの比較 ではどうしようもない主張を展開し始めている。

確かに、自民党議員との取り扱いで多少差異があるかもしれない。それは否定できない疑念はある。
だが「自民党が摘発されていない。だから自分達を捕まえるのはおかしい」。この論理は明らかに間違っているといえるだろう。
 端的にいえば、交通違反をした時「他の人もやっている、なぜ自分だけ捕まえるのか。自分も無罪にしろ」と言っていることと同じ事だ。
 したがって、仮に多少差異があったとしても「だから罰する事は不当である」という主張は成り立たないし、これを主張しているようでは、報告書の内容が偏っている認めるような論理は少なくとも法的判断では許されない。

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最後に、この章において一番問題なのが次の記述。
P11 3.小括
"これまで述べてきたように、民主党代表であった小沢一郎氏の公設秘書の大久保氏を逮捕・起訴した政治資金規正法違反事件の捜査・処理に関しては、そもそも違反が成立するか否か、同法の罰則を適用すべき重大性・悪質性が認められるか、任意聴取開始直後にいきなり逮捕するという捜査手法が適切か、自民党議員等に対する寄附の取扱いとの間で公平を欠いているのではないか、など多くの点について疑念がある。『このような捜査・起訴のために、総選挙を間近に控えた時期に野党第一党党首を党首辞任に追い込むという重大な政治的影響を生じさせたことに関して、検察は説明責任を負っている。』"

 もはや本末転倒としか言えない。

 「政治活動において非常に影響を与えたから」、「司法は説明責任を負っている」という主張。
 これは「司法は、政治的影響に配慮して活動せよ」と言っているに等しい(実際には後述でそう述べているが)。
 そもそも野党第一党党首が辞任したのは「小沢前党首の個人的判断」だ。
 本来であれば、小沢前党首がきちんと国民に説明し、政党として納得してもらい党首を続けてもらうという方法もあった。それを行わなかったのは、あくまで「小沢個人の判断」でしかない。
 なぜ、その「小沢個人の判断」についてまで検察が責任を負わなければいけないのだろうか?

 こんな事を記述している時点で、この報告書がどこまでも公平性に欠いた報告書だといわざるを得ないのではないだろうか。

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以下、第2章について、後ほど記述予定(今日は午後から会議が詰まっているので難しいが、明日には書きたいと思っています)

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