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工業技術はあるけど経営技術は無いという…典型的な町工場?2009年07月10日 19時22分12秒

踊るロボットCMの「生産技術」が民事再生を申請
7月10日17時34分配信 ITmediaニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090710-00000068-zdn_n-sci
(Yahoo)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0907/10/news075.html
(元記事 IT Media)

さて、この問題。
CMでもよく解るとおり、技術力は結構高い。
日本が技術立国である以上、この企業の存在価値自体はとても高いといえる。

で、今回の民事再生。

「不況が原因」だとか「こういう企業こそ大切にすべきだ」とか、果てには「不況対策ができない政府が悪い」とか関係ない事を人もいるかもしれない。(実際、yahooコメントを見ると、そんな意見が多い)

でも、記事をよく読んでいると、ぜんぜん違う。

>しかし、所有する計10ヵ所の工場の建設資金、レンタル機器の導入資金を借り入れに依存していため、金融機関からの借り入れは約100億円(2008年11月末時点)、また金融機関を引受先とする社債残高は約23億5000万円に達し、資金繰りは多忙化。昨年の世界同時不況の影響で、製造業に対するコスト削減が要求されるなかで、当社へのレンタル機器導入の引き合いは逆に増加していたものの、顧客の設備投資先送りや資金調達のズレ込みなどで資金繰りはタイトとなり、今回の措置となった。

帝国データバンク資料より 抜粋
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3080.html

単に
「借りた金を固定資産等の導入資金に当て」、拡大戦略を取ったところ、
「固定資産(工場)が返却費用を生み出しきる前」に、資金ショートをして
 にっちもさっちもいかなくなった。

というだけ。

典型的な「設備投資タイミング・資金調達」の読み間違い。

不況になって、各企業がコスト削減を図ろうとしていたから、レンタルロボットのニーズ自体は高まっていたから、市場の問題は無かったようだしね。


「年収入高は2008年5月期には約112億5600万円にまで伸長した」
「しかし、借り入れ・社債は合計約123億5000万円(2008年11月末時点)」
「結果、資金繰りは多忙化」

完全に利益が返済額で食われる
「すごい成長企業なんだけど、内実は自転車操業」パターンじゃないかな?これって。

 確かに、設備投資は必要なのだけど、ちゃんと「経営」を考えないと失敗するという典型的なパターンだよね。

 だから、この記事を読む人は、コレを「不況のせい」とかいうと、話を完璧に読み違える事になるので注意が必要だと思う。

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 ともあれ、この手のパターンは日本の中小企業ではよくある話だと思う。

 中小企業の多くは「社長」=「現場の人・親方」というようなパターンが多い。
 これは、飲食店経営でも商店でも町工場でも同じ。
 飲食店の場合、オーナー=シェフだったりするし、商店でも店長=オーナーとか。町工場も「独立して自分で工場を作った人」というパターンが多い。

 そのため、技術力はあるのだけど経営戦略という部分には弱いという事が多々ある。というより「経営」という部分について知らない人が多い。

 結果、大きくなってくると「自分の手に余る」状況になってきつくなる。

……で、人に頼ることになるのだけど。

 大抵、なぜか「銀行」にアドバイスを頼む場合が多い。
 なんでさ?


 確かにメーンバンクは親身になってくれるとは思う。
 でもメーンバンクは「自行からの貸し出しを中心とした資金調達」で考えるのが普通。だって、そうしないと「自行にお金を落として」くれないから。

 だから、長期借入金で経営戦略を組むし、そこで資金ショートしそうになったらさらにぎりぎりの線で短期借入金も組む。

 結果、最後には銀行のためにはたらく企業が一丁上がり。

……もう少し「外部」に人材を求めるべきだと思うんだけどね。

 経営コンサルタントでもいいし、許認可手続も行ってコンサルや経営戦略も組めるような行政書士とか。

 例えば、自分とか、自分とか、自分とか。(こらマテ)

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 まあ、何はともあれ、この企業については「民事再生手続」での処理になるから、
清算法人となるわけじゃなくて、債権元(銀行)は「金利分放棄」で「数年間支払は凍結」とかそんなところが落としどころかと。

 ある程度、資金繰りさえ正常化させれば、間違いなく一定以上の利益は見込める企業だし、今後もレンタルロボット市場自体も当分は拡大していく市場ではあるからね。

まあ、あまり心配するほどのことでも無いだろう。
(とはいえ「完全にショートするまでフォローを入れられなかった」という事自体は、ちょっと眉を顰めたくなるんだけど)

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 話は変わるが、今、中小企業の多くで、「日々の経営」問題以上に、実は「後継者問題」が発生しはじめています。
 「トップとしての経営判断」は、管理職やその他の職業ではあまりつきません。
 そのため「いきなり社長交代」では対応できない場合が多々あります。
 次期後継者として、しっかりと育てていく必要があります。
 また、許認可においては「該当業種の経営者の資格(経歴)」を問われる場合もあります。
 日頃からある程度は考えておきましょう。

 大企業と違って、「人材不足」(ぎりぎりの人数しかいない)のが中小企業です。
「いくらでも社長のなり手がいる」訳でもないので、しっかりと未来を見据えた経営が必要です。


 当事務所では(というより当方)、「事業承継」(後継者教育)を含めた中小企業の中長期経営を許認可・契約を含めサポートしています。

 普通のサポートとはちょっと違ったサポートをお求めの方、お気軽にお問い合わせください。

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ちなみに、当事務所では「民事再生」等の司法手続によるサポートは基本的に行いません。

……と、いうか「民事再生などにならないように」サポートをするのが仕事だしね。

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 行政書士で「この分野(民事再生分野)も」って考えている人が稀にいるけど、「コケないように」フォローするのがこっちの(行政書士の)業務範囲であって、「コケてから起き上がる」のをフォローするのとはまったく違う。「コケてから」のフォローは弁護士や司法書士でやってくれればいいじゃん。

 こっちは「コケないような」視点を磨こうよ。
【司法手続】だけじゃなくて、総合的見地が必要になるから、司法手続に追われる司法書士では忙しすぎて入ってこれない世界なんだし。

……まあ、「コケた時」の知識も必要だけどね。

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