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「がんばります」に意味は無い 22010年01月12日 19時23分10秒

さて、ここからは行政書士としてのお話。

 11月に倫理研修というのを千葉会で行ったのだが、ここでもこのような話を実際に講師がされていた。

 新人が仕事をしたがるあまり、判断を誤り「できます」と安請け合いしてしまうが、実際には十分にできなくてクレームが発生する場合のことだ。

 ただし、講師はこの話を「倫理」(『誠実』に業務を行う義務)として説明していた(時間が短かったという事もあるだろうが)。
 大雑把に言えば、「仕事を頑張ったから評価してほしい・仕事をやりますといって結局できない、というのは意味がない」というような内容だ。

 私自身、内容には大きく同意するのだが、これを「倫理」としてだけ説明してしまったのではちょっと足りないのではないか、とも考えている。
 ただ単に「倫理」とだけ説明してしまうと、「精神的なもの」ととらえて「努力した方がいい」「品位として守った方がいい」という風に、受講者としてはとらえかねない危険がある。実際、受講者の中にもちらほらと「主に品位を守るために必要な問題」として、倫理的にとらえているふしが見られた気がした。

 確かに「倫理」(『誠実』に業務を行う義務)としての側面も大きい。だが、それだけでなく「企業努力(事業努力)」としての顧客満足の問題として『も』教えた方が良かったのではないだろうか。
 行政書士だから「社会的に高品位を保つ」義務があるとは思う。
 だが「高品位を保つ」理由を「社会的意義」等のみに求め「精神論・倫理」を要求したとしてもどれだけの人が付いてくるだろうか。
「社会的意義」だけで「食い詰めている」先生達が従ってくれるだろうか?
 結局「そうは言っても仕事がなければ意味がない」となるのではないだろうか。

 ところが、この話を「経営論」として「顧客満足」の面からも進めていけば、どうなるだろう。
 「仕事を受けたとしても次に繋がらない。自分の健全経営が成り立たなくなる」と、なれば「今、仕事を受けたとしても意味がない」という理由で、倫理面だけでなく経営面からも抑制をかけられるのではないだろうか。

 私の中では、このような考え方が湧き上がっている。

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 どんな企業も「業」として「経済的利益を求める」事が前提だ。
 これは「法律隣接職」である私達も同じだろう。
 個人事業者であっても「事業者」である事は変わりがない。

 確かに「高品位」のサービスを提供することが、社会的に求められていたとしても「事業者として」成り立っていなければ意味がないだろう。

 そういう意味では、私達法律サービスであっても「経営」としての考え方が必要だと思う。

 実際、行政書士会で問題となっているクレームの多くは「健全経営のための手法」という観点からすれば、自然と「否定される」内容がほとんどだ。
 本来、「事業者として」の経営原理が頭に入っていれば、当然に『発生しない・回避される』ような問題がほとんどだ。

 ところがこれが何度も発生している。

 この原因の一つは、これを「倫理的な問題」としてしかとらえていない事にあると思う。
 会でも、綱紀等で問題を取り上げ対処するだけで根本的な「経営問題」としては誰も対策を考えていないように思われる。

 「高潔な倫理があればこのような問題は起きない」、という視点だけで考え「ならば高い倫理観が持てるように研修すべきだ」と短絡的にとらえているようにしか見えないのだ。
(そのための「倫理研修」という感じだし)

 確かに「高い倫理観」は必要だと思う。

 だがそれは、行政書士事務所として「健全・適切な経営」がなされていることが前提だと思う。

 私達は霞を食って生きているわけではないし、
「衣食足りて礼節を知る」の言葉どおり、逆に言えば「衣食が足りなければ礼節など意味がない」のだから。

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「健全に事業経営をする意識」が根底にあり、その上で「通常人より高い倫理観」を持つ。

 これが、本来、私達法律サービス業の「あるべき姿」だと思う。

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