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良い客こそが良い店を育てる見本2009年02月06日 01時39分55秒

という話。

……だけじゃなくて、経営その他の基本論理なのだけどね。

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シンガポールのホテル、宿泊料金は客が設定
2月5日17時44分配信 ロイター
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090205-00000175-reu-int

この手のサービス。
「1円しか払わない客がほとんどではないか?」と考える人が多いかもしれないが、実は「客側もきちんとお金を払う」場合が多い。

と、いうと「外国人はマナーがいいから」とかいう人が多いかもしれないが、実際は「ちゃんとした理由」がある。


まあ、「ほとんど使わない人」や「貧乏性の人」は数円しか払わないだろうが、「そのホテル」を常宿としているような人からすれば、「いつもの値段より多少得をしよう」とは思うかもしれないが、それでも極端に値段を下げる事はしない。

理由は簡単。

「良いサービス」「自分が好むサービス」を維持しようと思ったら「ある程度の適切な対価が必要」という事を理解しているから。

これを、もし「得した」とばかりに激安値で泊まり続けていたらどうなるか?
考えたら判ると思うが、ホテル側の「サービス提供のための資金」が減少する事になる。

そうすると、ホテル側としては提供するサービスの質を落とさなければ経営できなくなる。

結果、「自分が受けるべきサービス」が低下する事になって、自分の常宿を失う事になる。

自分達が安易に安く扱った結果、自分達の憩いの場(常宿)を消滅させてしまうという。

「自分が損をする」という、まさに”因果応報”そのものという事だ。

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実際、この手の話は日本でもよくある。

「にゃっぽん」という、個人がサーバーを借りて同じ趣味の人が集まるSNSがある。
ここでは、「個人」運用のため基本的に「営利」は追及できない。
サーバー運営費も基本的に”自前”だ。

で、実際には”自前”ですまないので会員(有志)にドミネーション(寄付)を募って運営している。

これが、実にうまく回っている。

同じ趣味の人達が集まる「憩いの場」としての機能があるため、その場を大事にしたい人達で余裕のある人は率先して寄付しているのだ。

また、もっとすごい話では、Arcadiaというサイトがある。

 趣味で二次小説・オリジナル小説を書く人とそれを読みたがる人が集まる「投稿掲示板」サイトなのだが、ここは完璧な個人運用。
 管理人が「本業」のかたわら、自分の趣味としてやっているようなサイトだ。
(しかも、実際には、著作権無視もいいところのバリバリ違法サイトなのだが(笑))
 この間、ここのサイト(手持ちサーバー)が、不調になりぶっ壊れかけた。

 だが、これを買うとなると結構値段がするため「個人負担」ではもう到底無理。
 で思い切って「寄付」を求めたのだけど、個人のサイトだし税金控除の対象になるわけでもない。そんな状況なので、おそらく本人もそこそこの期待しかしてなかったと思う。

……現実はどうなったか。

目標額29万円と、目標額事態も大きい額なのだが、

告知してから、たった10時間後には、874,815円 のべ寄付件数 133件 の破格の寄付が集まっていた。
いや、たぶん運営者本人もびっくりの状況だったと思う。

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さて、これは「善意」か? 「美談」だろうか?
自分としては「違う」と思う。

「そのサイトで自分の趣味が維持し続けられる」・「そのサイトで小説が読める」という、どちらも「サービスを享受し続けたい」と考える利用者「正当な対価としてサービス維持コスト」を払っている、という感覚だろう。
(実際、運営本人も「維持にしか使わない」と言明しているし)

結局、最初のホテルの話と同じような構造なのだ。
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ちなみにこの手の「対価は客が決める」というのは、客が「今後も利用し続けたいと思う」サービス・商品に対して有効なものだと思う。

「今後も提供してもらう」ために正当な対価を払う。

これが、成立させるための前提であり、
見方を変えれば、「今の価値」だけでなく「今後の価値」まで含めた発想であり、一種の「先行投資」としての性質も持つといえるだろう。

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また、ちょっと話は変わるが、実はこれは著作権の話でも同様の事が言える。

米アップルが1月初めに、iTunes Storeで販売すふ楽曲の複製禁止ソフトを解除する事にした。
結果、ある程度「デジタル複製が自由になる」のだが、

じゃあ、この結果「無料で取得する人が増えると、クリエイターの利益が損なわれる」(よくある主張)というのか?
といえば、おそらくそんな事は無い。(あっても微々たるもの)

 これも先の話に繋がるのだけど、「良い曲・良い作品」を作るクリエイターに対してファン(支持者)は「今後も良い作品を『作り続けて欲しい』」と考えるのが普通だ。

 この時、自分が「次の作品を手に入れるために」は、前提として「クリエイターが干上がらない」「クリエイターの作成意欲を減退させない」事が必要になる。
 結果、クリエイターに対し金銭面での支援(購入)しなければ、次の作品が生まれないというスタイルが維持され続ける事になる。

 この考え方、たぶん納得できるのではないだろうか?

 逆に言えば、無理に財産的権利を主張して、需要市場そのものを低下させる事(ユーザーの購買意欲を停滞させてしまう事)は、短期的に見れば利益は出るが長期的視点に立てば利益を損失するだけの愚策に過ぎない。

 このあたり、本来著作権を管理する側も(某JASラとか、邪スラとか)考えて欲しいものだ。
(とは言っても、彼らは「今自分達が利益を得られれば良い」としか考えていないから(クリエイターのために動いていないから)おそらく「吸い尽くす」事しか考えてないと思う。……自分達の市場そのものの首を絞めていくだけなのだけどね)

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話がずれたが、

本質的に、
「自分が今および将来利益を得るために、先行投資・ある一定のコストを払う」という事は、経済・経営その他一般的な論理として存在する。

農業ですら「撒かぬ種は生えぬ」というように、将来の利得のために今投資が必要だという論理が根付いている。

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……ところが、今の日本人の多くの人が、この基本中の基本を忘れているとしかいえない。

言っちゃ悪いが、「企業の内部留保を削ってでも労働者にもっと賃金を」
などというのは、

「無料で配ってもらって少しでも得をしよう」と考える人たちと同じ。

今、内部留保を削って「未来への投資のための原資」を減らせば、将来においてより大きな被害を受ける。

たとえ腹が減っても「来年撒く種籾には絶対手をつけない」という基本を、農民ですら解っていたのに、今の日本人の多くがわからなくなっている。

今、一時、飢えをしのいだとしても何の意味があるのか?
より多くの飢餓を招くだけではないのか?

「内部留保」を、「明日の種籾」でなく「上の人間達の宴会用の米」などという風に嘘を教えるマスコミ・知識人。
それに騙されて「種籾」すら口にしようとしている、一般人。

どちらも「無知」だとしか思えない。

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「なぜシンガポールのホテルがうまくいっているのか」この理由をしっかりと考えてもらいたい。

そこにこそ、不況脱出のヒントがあるのだから。

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