衆議院選挙について ― 2005年09月13日 00時00分00秒
友人の知人(自分の知人というほどの交流もないので)の某議員については、小選挙区で落選。比例ブロックでなんとか当選、と、まあ、喜び全開といえるほどではないのですが、
とりあえず、当選はしたので喜ばしいことです。
で、全体の選挙結果についてですが、今回の投票での市民の動きについては、色々言いたいことがありますが、それはあまりにも毒々しくなってしまうので、「裏」で表明することとしましょう。
さて、今後の政局の動きについては「激しく流動的になる」ようなので、個人予測として色々考えてみたものを、総括として載せておきたいと思います。
自民党の大勝について ― 2005年09月14日 00時00分00秒
昨日「選挙の総括をする」といったのですが、あまりにもまとめることが多すぎるので、ちょっと時間が必要になると思います。
ただ、今の時点で、簡単に言うならば「自民党は大勝しすぎた。そのため政局は今まで以上に流動化する」と私は予測しています。
一見すると確かに選挙での大勝によって、自民党ひいては小泉首相の影響力が強まり、強固な政権が確立したと見えます。
ですが、問題は「郵政民営化法案後」にあります。
郵政民営化については今回の選挙で意思統一ができたのですが、それ以外の事については、現時点において、なんら意思統一がなされていません。
この状況下でしかも「郵政民営化」のみを問う意味で出馬した新候補達については、「それ以外の事」(今後の様々な改革について)意思を確認しているとは思えません。
(小泉内閣への忠誠は確認したかもしれませんが)
また現議員についても、同様に「郵政改革以外」の意思統一が確立しているとは見えません。
さらには、小泉首相自体が「総裁再任の意思はない」と言明していることも今後の争点になります。
次の総裁については、今回の改革に一定の効果があったことを認め留任を要請したい派と同様に効果は認めるが更なる発展を考えて新総裁擁立を望む派がうまれてくるでしょう。パワーバランスの観点から見ても、小泉首相の影響力について「許される範囲」と見るか「危険な集中体制」とみるかで考え方が変わります。結果、今後の総裁候補について意見が分かれてくるでしょう。
結果、今後「再任要請派」と「新総裁擁立派」との政争に、さらには「新総裁候補」同士の政争に発展する可能性は非常に高いと思われます。
民主主義の概念からすれば、多種多様な議論が沸き起こることは歓迎されることであって、むしろ「一人の意思」が強固に作用する状況の方が異常な状態だといえます。ならば流動化する方が正常な社会だといえるのでしょう。
ただ、今回、自民党は大きくなりすぎました。
昔の派閥制度を全面支持するわけではありませんが、このような状況では、多種多様なグループが存在し、グループリーダーの合議によって全体組織の意思統一を図るのが基本です。
しかしながら、今回の選挙で、自民党はグループ(派閥)の影響力を自ら縮小してします。
この状況下で小泉首相一人の指導力によって、300人近い衆議院議員またその他参議院議員、さらには地方組織まで掌握できるのでしょうか?
私は不可能だと考えます。
当分の間は水面下での抗争となるでしょう、しかし今後、小泉首相のカリスマ(影響力)が一瞬でも揺らいだら、大きくなりすぎたがゆえに 揺れ動く波も比例して大きくなり、一気に表面化・政局の流動化を招くと考えます。
小泉首相の指導力が揺らぐのは「統一された意思形成が意味を成さなくなるとき」つまり特別国会において郵政民営化法案から始まるでしょう。
そして「新たな意思形成」において統一化が速やかにできなかったとき、これらは表面化します。
ならばそれは…
早ければ今期の通常国会で、遅くても次期総裁選への布石が始まる来年4月くらいまでの間に始まるのではないかと私は予測しています。
…一言のはずなのに、これだけの量になってしまいました。
他にもこれらに対応して今後の民主党のやるべきことなども色々考えているのですが(これは明日の一言で簡単に書く予定(書けるのか))、これらを全部まとめるのは大変だなぁ。
……やらなきゃよかったかも ^_^;)
民主党はどうなるのか ― 2005年09月15日 00時00分00秒
さて、一応昨日予告したとおり、今日は民主党再編について少し語ってみましょう。
民主党は、今までどおりの上層部だけの椅子取りゲームかと思いきや、今日、地元(といっても隣の選挙区ですが)の野田さんと前原さんを中心とした若手・中堅によって候補者の選出を打ち出し始めました。
このこと自体は望ましいのですが、ただ現状の党首選びについては非常に問題があると私は考えます。
今回の選挙での民主党の敗因として、私は「明確なビジョン・プラン」の欠如が一番の要因だと考えています。
確かに長期的な対策・最終的な目標・理想を持つことは大事です。また、長期的プランにおいては民主党にも明確なビジョンがあったのかもしれません。
しかしながら、それら長期的プランを達成するための中期的プランさらには短期的プランについては、「明確なビジョン・プラン」が民主党にまったく存在していませんでした。(抽象的なプランしか存在しなかった)。一方の自民党(小泉首相)は、この短期プランにおいて「郵政民営化法案可決」のみを打ち出し、明確に国民に示しました。
この「短期的プランの明快さ」において一歩も二歩も後れを取ったこと、これが国民の支持を失った(興味を失わせた)要因と私は考えます。
現在、不況で先行きの見通しを失ったこの暗闇の中で、国民が望むのは単なる「若さ」や「選挙・国会対策・組織維持のうまさ」ではなく、国民が(日本という国が)やがてたどり着く「明確な目的地(ビジョン)」と、その道行きを照らし導いていく指導力だと私は考えます。
この「羊飼いと羊の群れ」的な状況は、みんなで考える民主主義からすれば非常に問題があるのですが、現状、国民が羊飼いを望んでいるという「事実」がある以上、まずは「羊飼いとして導く」事も指導者としては必要だと思います。
現状の危機的な状況下においては、理想論よりもまずは、「優秀な羊飼いとして安全な地にたどり着き」、それから民主主義に戻す方法の方がより多くの国民を導けると考えます。
だからこそ今、民主党のリーダーに必要なのは「リーダーによる明確なビジョンの提示」でしょう。そして、今回の民主党の党首選びにおいては、リーダー間における、民主党の今後の目標を定めた政策論争を国民に示すことが大事だと考えます。
単なる「上層部による椅子取りゲーム」からの脱出という点では、今回の若手からの声は望ましいのですが、今後の国家政策論争を抜きに、単なる党利党略のみを主眼においた、単純な若手VS旧体制派による勢力争いにしかならないのであれば、結局、国民からの支持はさらに離れていくことでしょう。「誰がなっても目的地が同じなのに、『リーダーになりたいから』というだけで争っている」という、不毛な支持者無視の権力闘争を国民に示してしまうのでは意味がありません。
民主党が自民党と対抗するために、民主党首が自民党首と対等に渡り合うに、国民に対する「明確なビジョン(目的地)」を設定することが必要でしょう。
そのため、今回の党首選びについては、党首の目指す「日本国の姿」(ビジョン)を選択基準の軸として争っていただきたいものです。
ノースウエストは今日も飛ぶ ― 2005年09月16日 00時00分00秒
今日は、自民党・民主党と続いたので公明党をと最初思ったのですが、いきなり入ってきたノースウエスト問題について考えることがあったので、そちらを優先ということでいきましょう。
ノースウエストの破産法第11条に基づく申立。
日本では破産と聞くと、業務を停止して債務整理、その企業は消滅という風に捕らえがちです。これは、日本の破産その他再建制度が、破産法や会社更生法・民事再生法など各制度によって法律が別々に存在しているからでしょう。
ですが、アメリカの法律では、日本と違って、これらの方法をすべてまとめ、「破産法」という一法令に集約させて存在しています。
ですから、今回の場合も、「破産法による申立」は、日本での「会社更生法・民事再生法」による「公権力の関与・監督を主軸とした再建」の申立に近いものであって、「破産」の申立ではありません。
このため、通常の業務は可能で(詳しい説明は省きます)、今日も元気にNWは飛んでいます。
とはいえ、ハリケーンの影響で数日間業務がまともに動かなくなったというだけで、経営維持が難しくなる、という事実の方が、本当は一番問題なのかもしれません。
結局、大手のNWですら毎日を乗り切るのがやっとの自転車操業でしかない、という、アメリカ経済の底の浅さ、不況ぶりが、今回、露呈されてしまったのかもしれません。
日本に対する影響としては、色々あるでしょうが、私の心配としては、とりあえず、格安航空券に対する影響さらには海外格安ツアーを軸にしている旅行業者に対しての影響が心配です。
ただでさえ、原油高によって航空利用のコストが上がっているのに、運賃自身もあがっていくという、ダブルパンチが生じるのは、ちょっと辛いですね。
ちなみに、今回の件について思ったのですが、行政書士はもっと破産制度についても勉強しておくべきだと思います。
破産申立自身は、裁判所管轄(弁護士・司法書士の職域)なので、触れてはいけないのですが、破産にいたる過程や破産回避の方法、破産後の再建中の支援、など債務者のフォローアップが必要な時、また、債務者側だけでなく債権者側の立場として、破産申立された回収不能債務をどう扱うか、貸し倒れにならないように事前・事後対応策はどうしたらよいかなど、単純な書面作成に見えても、場合によっては深く視野に入れてアドバイスをし、書面に盛り込むようなことも生じてくるでしょう。
実際、これらの問題に対応するには、単なる破産制度・法令の理解だけでなく、公共・民間の資金制度等も含めて広く全体的な知識が必要となります。
本来、これらの対応などは「オールスペシャリスト」の弁護士が行うべきなのでしょうが、資金が潤沢な企業ならともかく、コスト面で考えると、どうやっても資金があまりない個人が弁護士を使うのは無理だと思います。
なら司法書士ではどうかといえば、司法スペシャリスト化してしまっている司法書士では一分野に関するスペシャリストであるということが逆に作用する可能性もあります。(会計・税務スペシャリスト化してしまっている税理士も同様かもしれません)
たとえ広く浅くであっても広範な知識(法制度だけでなく、様々な制度に対する知識)が必要な問題については、各部門について各スペシャリストに任せるとしても、これらを統合・マクロに調整する部分において、行政書士が総務・管理部門として対応していくことができると思います。
(逆に言えば、スペシャリスト同士の対立に関与しない分、チーム内の調整役として余計に行政書士の存在意義が大きくなるかもしれません。)
「制度上参加できないから」とあきらめるのではなく、ならば制度外周からのフォローなどで参加できないか? 等、ポジティブに考えていきたいものですね。
※当事務所でも、当然対応はしてます。
…サイト上では全然対応しきれてないのですけどね ^_^;
政党シリーズ 最終回? ― 2005年09月17日 00時00分00秒
政党シリーズ(っていつシリーズになったんだ?)
今日は最後の公明党。
色々、流動化が始まる政局ですが、ある意味、公明党が一番難しい立場になったのかもしれません。
少数派が力を握るには、ある局面で、第3勢力としてかつ最終投入勢力としてのキーパーソンとなることが基本です。
つまり同等の勢力が拮抗している状況での、バランスを一方に傾かせるための最後の一片。この移置にいることが重要です。
今まで軽んじられていた公明党が、ここ数年政治の表舞台に立っていたのは、まさにこのキーパーソンとしての立場があったからこそで、民主党と自民党が拮抗しているときにこそ少数勢力の存在意義があるのでした。
これは、今までの日本そのものの存在意義と同じです。
日本が、資本主義(アメリカ)と共産主義(ソビエト)とを挟んだ位置に存在していたこと。アジア(ユーラシア)大陸とアメリカ(太平洋)との間に存在していること。
これらが日本という国の存在意義を高めていたものでした。
近年では、韓国等により日本の存在意義は多少薄められてきたのですが、最近の韓国の思想上の問題点、民族主義による偏り方を考えると、思想上においてもあまり癖のない(というよりも無思想な)国家である、日本のパワーバランス上の存在は衰えていないといえるでしょう。
一方、日本国内に目を向けると、公明党については、今回の自民党の強大化によるパワーバランスの崩れ方は、明らかに公明党の存在価値を低下させたといえます。
今、仮に自民党と反目したとしても、民主党+公明党で考えても、自民党に勝つことができません。また「自民党(小泉首相)に反目する」=「改革反対の悪である」という簡単な図式を作ってしまった現状においては、簡単に反対勢力扱いに貶められる危険性があります。
さらに、連立政権ではありましたが、元々、公明党が(公明党の支持母体が)政治上の思想ではなく宗教上の思想的に統一された母体を持つ団体であるがゆえに、自民党においては宗教論から公明党を精神的に忌避する者も多く、政権維持のためにのみ連立していた状況においては、積極的に連立体制を維持する必要がなくなった今後、公明党忌避論を再び復活させるおそれも予測されます。
この状況では、公明党は「昔の公明党」と同じくらいの存在になってしまうかもしれません。
では今後、公明党が、勢力を伸ばす可能性はあるのでしょうか?
私はその可能性はきわめて低いと考えます。
公明党は組織票を基礎としていますが、公明党そのものが一つの組織として強固に確立しています。その結果、組織票については揺らぐことなく強固なのですが、逆に公明党以外の組織からの参入を難しくしています。そのため、組織票としての確保はできますがそれ以上の票の伸びとなると極端に低下していきます。
これが、結局、今回の選挙で公明党自身の議席数の伸びはあまりなかったという事実に結びつき、組織を利用しながらも、様々な勢力・支援組織を調整することによってパワーバランスを党内自身で取ってきた自民党との差に結びついたのだと考えます。
今後、公明党は、30~40議席前後の少数政党としての地位は変わらず維持していけるでしょうが、自民党内部での分裂が起きない限り、政治の中心からは外れていくのではないでしょうか?
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